リモートワーク時代のエンジニア教育

エンジニア
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リモートワークが推奨される今日において、企業のマネージャやチームリーダーは、部下や新人をどのように教育するかということに悩んでいる方もいらっしゃると思います。

また、チームに新たに加わった初心者の方の中には、十分な教育が受けられない、と思っている方もいると思います。

これまでは、初心者が困っている様子を周りの人がなんとなく察知して、声を掛けるということが暗黙的に行われてきましたが、リモートワークではそうはいきません。

このような状況となったときの1つの解決策として、「アプレンティスシップ」の考え方が良い効果をもたらすのではないか、と僕は考えています。

本記事では、書籍「アプレンティスシップ・パターン」を参考に、リモートワークにおけるエンジニア教育について考えます。

本書は、約10年前に発売された本ですが、今の時代にも通じる、初心者から一流の職人(熟達したエンジニア)になるためのたくさんの考え方や実践方法がパターンとして書かれている本です。

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今回は本書の一部のパターンを抜粋してお伝えしますが、全体が気になる方はぜひ手にとってほしいと思います。

リモートワーク時代のエンジニア教育

僕はリモートワークが普及してきた今だからこそ、この「アプレンティスシップ」が役立つのではないかと考えています。

「アプレンティスシップ」とは、「徒弟制度」ことで、中世ヨーロッパに広く普及した職人の組合「ギルド」で用いられていた職員養成制度です。

この制度の中では、技術習熟度により以下の3種類に段階分けされていました。

  • アプレンティス:この制度における弟子を表します。エンジニアでいえば駆け出しエンジニアですが、本書ではプログラミング言語も知らない全くの初心者ではなく、半年程度の現場経験がある初心者のことを表しています。
  • ジャーニーマン:アプレンティスを卒業したが、熟練職人にはなりきれていない人を表します。エンジニアで言えば、一人である程度の業務をこなせるようになった段階を人を表します。
  • 熟練職人:ギルドのマスターを表します。エンジニアで言えば、CTOやリードエンジニアの人を表します。

それぞれの役割は以下のとおりです。

  • アプレンティス:一人の熟練職人の元で、様々なことを教わります。アプレンティスは、熱意と学習意欲を持っており、それはジャーニーマンや熟練職人にも良い影響を与えます。
  • ジャーニーマン:熟練職人になるために、旅をしながら様々な熟練職人のもとで経験を積んでいきます。同時にアプレンティスの教育もジャーニーマンが中心に行います。
  • 熟練職人:ギルドの責任者としてジャーニーマンやアプレンティスを育てながら、自らも高いスキルで仕事を行います。

本書ではこの3種類の人が一人ずついるチームが理想であるとしています。

僕もチームの人数はもっとたくさんいるかもしれませんが、その中でもさらにこの3種類のメンバーが存在する小さなチームを作るのが良いと考えています。

リモートワークでアプレンティスシップが有効な理由

僕は3つの理由で有効であると考えています。

理由1:アプレンティスシップによる教育体制の明確化

理由の1つ目は、教育体制をハッキリさせることが出来るからです。

アプレンティスは一人で作業することに不安があります。

これまでは周りの人が声を掛けてくれたり、何となく助けてくれましたが、リモートワークにおいては、アプレンティスから声をあげない限り誰も助けてくれません。

アプレンティスシップは、その曖昧な関係性を制度化することでハッキリとさせます。

さらに、アプレンティスと熟練職人だけでなく、様々な熟練職人のもとで修行を積んだジャーニーマンを入れることにより、アプレンティスは様々な考え方やスキルをジャーニーマンから教わることができます。

本書では、「良き指導者を見つける」というパターンとして、あなたがアプレンティスである場合には、良き指導者(熟練職人)を見つけることが重要であるとしています。

近くに良き指導者がみつからない場合には、コミュニティに参加してみるなどの方法もおすすめです。

理由2:リモートワークでも同席して作業する

2つ目の理由は、常に隣にいるかのように仕事ができる体制を作ることが出来るからです。

Web会議ツールやチャットツールなどが発展したことで、リモートでも常に繋がることができる仕組みが作れるようになりました。

本書では、「同席する」というパターンとして、アプレンティスが壁にぶつかってしまった時に、熟練職人やジャーニーマンと同席して作業をすることで、アプレンティスが知らなかった優れた技法や取り組み方を学ぶことができ、成長につなげることができると書かれています。

また、その手段の一つとして、「ペアプログラミング」が有効であるとしています。

ペアプログラミングについては、本ブログでもおすすめのチーム開発手法として紹介していますので、ご存知でない方は参考にしていただければと思います。

プログラミング初心者にこそ実施して欲しいペアプロ・モブプロのススメ
プログラミング初心者の方で、一人での学習に限界を感じてしまったという方はいないでしょうか。 また、ある程度一人でプログラミングが出来るようになっても、チームで開発することに不安を感じている方はいないでしょうか。 そんな時の打開策の1つとして、ペアプログラミング(ペアプロ)とモブプログラミング(モブプロ)を紹介します。

理由3:マインドの伝承

3つ目の理由は、熟練職人のマインドをアプレンティスに伝承することが出来るからです。

熟練職人は、高いスキルを身につけるために様々な経験をし、また継続して学習を続けています。

そうした心構えや継続した学習を行う姿勢をアプレンティスに伝えることで、アプレンティス自身も熟練職人を目標として、学習を続けるようになります。

チームメンバーが当たり前のように学習している組織に自分が入ったら、自分も勉強しないとという気持ちになります。

本書では、「永遠の学習」というパターンとして、アプレンティスが自己成長を行うためのきっかけの1つとして熟練職人からの伝承の重要さを記載しています。

今こそ熟練職人のマインドの伝承を

伝統芸能や伝統工芸などの職人たちは、昔からアプレンティスシップのよる教育を実施してきています。

エンジニアの世界では、新たな技術もどんどん出てきて、熟練職人になるための育成が難しいという課題もあります。

また、世の中に学習するための情報は溢れていて、初心者が学習しやすい環境は整ってきています。

ですが、アプレンティスシップによる伝承で重要なのは、技術よりも、マインドなのではないかと思います。

学習意欲や姿勢、考え方などはインターネットでは学ぶことが難しいものです。

リモートワーク時代で、人と人との関係性が疎になる今だからこそ、アプレンティスシップの考え方を取り入れてみても良いのではないでしょうか。

今回紹介した「アプレンティスシップ・パターン」には、もっとたくさんのパターンが紹介されていますので、ぜひ手にとってみてください。

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そして、この本の元となっている本が「ソフトウェア職人気質」という書籍です。

こちらもソフトウェア職人とはどういう人か、どうしたら職人になることができるのか、について書かれた良い本ですので、気になる方はぜひ読んでいただきたいです。

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日本でもプログラミング教育が始まり、アプレンティスがたくさん出てきます。

アプレンティスシップによる教育を経て、たくさんの熟練職人やジャーニーマンがいる国になったらいいなと思います。

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