エンジニアになってある程度の経験を積むと、今後のキャリアパスについて悩んだり、会社から管理職への転身を求められたりすると思います。
エンジニアとして技術に携わりながら、組織を統括するポジションへキャリアアップする1つの職種として、エンジニアリングマネージャーがあります。
本記事は、ある程度の経験を積んで、キャリアアップに悩んでいるエンジニアの方を対象として、
- エンジニアリングマネージャーとは何か
- エンジニアリングマネージャーになるにはどうしたらよいか
について、解説します。
僕自身も企業に勤めていた頃は、肩書きは違えど後述するエンジニアリングマネージャーとしての役割を担っていました。
そうした僕の経験も書いていますので、参考にしていただければと思います。
エンジニアがマネジメントを行うエンジニアリングマネージャーとは
エンジニアリングマネージャーについて、以下の内容を解説していきます。
- エンジニアリングマネージャーとは何か
- エンジニアリングマネージャーの役割
- エンジニアリングマネージャーに必要なスキル
- エンジニアリングマネージャーになるための学習方法
- 自社にエンジニアリングマネージャーのポジションがない場合はどうしたらよいか
エンジニアリングマネージャーとは何か
エンジニアリングマネージャーという言葉に明確な定義はないのですが、役割からざっくりと説明すると、組織のエンジニアをマネジメントする職種となります。
既存のよく知られている以下の役割と比較してみると分かりやすかもしれません。
管理職(課長職、部長職)との違い
管理職はいわゆる事務作業(組織のコスト管理や勤怠管理、承認・決裁管理等)が中心ですが、エンジニアリングマネージャーで行うことはほとんどありません。
また、管理職が統括する対象は、課や部に所属するエンジニア以外の人員も対象となりますが、エンジニアリングマネージャーは基本的にエンジニアを統括します。
プロジェクトマネージャー(PM)、プロジェクトリーダー(PL)との違い
PMやPLは、担当するプロジェクトが管理の対象となりますが、エンジニアリングマネージャーはプロジェクトによらず組織全体を対象とすることが多いです。
PMやPLやスケジュール管理やタスク管理などのプロジェクト視点で作業を行いますが、エンジニアリングマネージャーは人や技術、組織に視点をおいて作業を行います。
エンジニアリングマネージャーの役割
エンジニアリングマネージャーには大きく4つの役割があります。
(組織によって担当する領域の大きさは異なります。)
- ピープルマネジメント
- テクノロジーマネジメント
- プロジェクトマネジメント
- プロダクトマネジメント
ピープルマネジメント
ピープルマネジメントは、エンジニアをマネジメントする役割です。
主に以下のような仕事を担当します。
- エンジニアとの面談、キャリア相談
- エンジニアの評価、査定
- エンジニアの教育、採用
エンジニアの一人ひとりとコミュニケーションを行いながら、より良い働き場所となるように環境を改善したり、エンジニアが目標を持ってモチベーション高く活動するための手助けを行います。
テクノロジーマネジメント
テクノロジーマネジメントは、技術領域をマネジメントする役割です。
主に以下のような仕事を担当します。
- 組織やプロジェクトが利用する技術選定
- 組織やプロジェクトが利用するツール導入
技術的な側面から、アドバイスや意思決定を行います。
時には、プロジェクトにも踏み込んでエンジニアをサポートする役割も担います。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントは、PMやPLを支援し、外部からマネジメントする役割です。
主に以下のような仕事を担当します。
- プロジェクトの品質管理
- プロジェクトのデリバリー管理
主にプロジェクト外からの視点として、成果物に対する評価や管理を行います。
組織の目標と、プロジェクトの実態がかけ離れないようにサポートします。
プロダクトマネジメント
プロダクトマネジメントは、プロダクトオーナーを支援し、プロダクトをマネジメントする役割です。
主に以下のような仕事を担当します。
- プロダクトビジョン管理
- マーケティング、セールス管理
主に技術的な視点から、プロダクトの将来性や計画について企画・検討します。
また、マーケティング戦略や販売戦略についても、技術的なアドバイスや検討を行います。
エンジニアリングマネージャーに必要なスキル
上述の4つの役割に分類して、それぞれで必要となる主なスキルは以下のようになるかと思います。
役割 | 必要なスキル |
---|---|
ピープルマネジメント
|
ファシリテーション
コーチング/メンタリング
|
テクノロジーマネジメント
|
アーキテクチャ
モニタリング手法
DevOps
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プロジェクトマネジメント
|
ソフトウェア品質
開発プロセス
|
プロダクトマネジメント
|
マーケティング/仮説検証
UXデザイン
|
エンジニアリングマネージャーになるための学習方法
エンジニアリングマネージャーには幅広い知識が求められるので、事前に準備というよりはやりながら改善していくほうが向いています。
それでもそれぞれに必要なスキルは本によって学習することも可能ですので、オススメしたい本を紹介します。(もちろんすべて読む必要はありません)
ピープルマネジメント
エンジニアのためのマネジメントキャリアパス
エンジニアリングマネージャーの入門となる全体を網羅した本です。
最初に読むべき本としておすすめです。
目からウロコのコーチング なぜ、あの人には部下がついてくるのか?
実例を交えて分かりやすくコーチングについて書かれた本です。
kindle unlimitedの対象にもなっており、購入しやすい価格となっています。
ザ・ファシリテーター
ストーリー仕立てで、ファシリテーションのスキルとマインドを学習できる本です。
ファシリテーション関連では定番書籍の一冊です。
テクノロジーマネジメント
Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計
プログラミング全体のアーキテクチャ設計を学べる本です。
保守のしやすいサービス・プロダクトにするための一助となります。
入門監視 モダンなモニタリングのためのデザインパターン
システムをどのように監視してモニタリングを行っていくのか、ベストプラクティスやパターンを学べる本です。
具体的な実例よりは、考え方や仕組みについてが中心にかかれています。
プロジェクトマネジメント
はじめて学ぶソフトウェアのテスト技法
ソフトウェア品質に関するテスト技法を体系的に説明された本です。
開発者にもおすすめの本です。
Clean Agile 基本に立ち戻れ
アジャイル開発手法についての基本を学べる本です。
アジャイル開発を実践している人にとっても、改めて基本に立ち返ることができる一冊です。
プロダクトマネジメント
リーン・スタートアップ
プロダクトをどのように成長させていくべきかが分かる本です。
起業家向けではありますが、エンジニアリングマネージャーとしても役立つ本です。
カスタマーサクセス
データを駆使して顧客を積極的に支援するためのマーケティング手法について説明された本です。
10個の原則についてチェックリストとして活用することができます。
自社にエンジニアリングマネージャーのポジションがない場合はどうしたらよいか
本記事の最後に、これからエンジニアリングマネージャーになろうとしたときに、自社にそのポジションがない場合はどうしたら良いかについて説明します。
僕自身、大手SIerに勤めていた時に、そのような状況でした。
先輩や上司のキャリアを見ると、技術職から管理職へ転身し、管理職になると技術とはほとんど無縁の作業を行っていました。
このような状況での解決手段は2つあるかと思います。
- 自社に新しくポジションを作る
- ポジションがある会社へ転職する
社内の組織が頻繁に変わり、新規事業の立ち上げなどに関われそうな場合は、そのタイミングで新たなポジションとして提案してみるのも良いかもしれません。
しかし、大抵の企業では新しく職種を作ることは容易ではないと思いますので、転職の方をおすすめします。
僕は転職をすることで、エンジニアリングマネージャーとして経験することができました。
いきなり転職することにためらいがある方は、転職エージェントに第三者として相談し、評価してもらうことをおすすめします。
転職エージェントは、転職サイトとは違って転職活動を強要するものではありませんので、気軽に自分の市場価値を知ることができます。
僕のおすすめは、JAC Recruitmentです。
>> JAC Recruitment(ジェイ エイ シー リクルートメント)
まとめ
エンジニアリングマネージャーについてまとめてると以下のようになります。
- エンジニアリングマネージャーは、管理職やPM、PLとは異なる、エンジニアをマネジメントする職種である。
- 幅広い知識や経験が求められるが、どこまでの領域を担当するかは組織によって異なる。
- 自社にポジションがない場合は、転職するほうがおすすめ。
エンジニアにおけるキャリアアップの1つとして、目指してみるのはいかがでしょうか。
今回は、エンジニアリングマネージャーについて解説しました。
以上、参考になれば幸いです。
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