エンジニアというとどんな仕事を思い浮かべるでしょうか?
おそらく多くの方は、プログラミングをしてシステムやサービスを開発する仕事を思い浮かべると思います。
実はシステムやサービスの一生(ライフサイクル)を期間で見ると、開発している期間よりも、運用保守をしている期間が圧倒的に長くなります。
そのため、運用保守に携わるエンジニアも多くいて、開発以上に重要な役割となります。
本記事では、運用保守エンジニアの仕事内容やその先に進むべきキャリアプランについて解説します。
僕も開発に携わりながら、運用保守を行うエンジニアとして活動していましたので、体験談も交えて紹介していきます。
運用保守エンジニアとはどんな仕事?キャリアプランとともに解説
運用保守エンジニアについて、以下の内容を解説します。
- 運用保守エンジニアの仕事内容
- 運用保守エンジニアに求められるスキル
- 運用保守エンジニアのキャリアプラン
運用保守エンジニアの仕事内容
運用保守エンジニアは、システムを安全に稼動し続けることで、お客様の業務や生活を支える重要な役割です。
ニュースなどでシステムトラブルによりサービスが利用できないといったことを目にすることがありますが、毎日問題なく利用できているのは運用保守エンジニアのおかげといっても過言ではありません。
運用と保守は別々の仕事として区別されることもありますが、関連性が大きく、両方を行うことも多いので、ここでは一緒にして説明していきます。
運用保守エンジニアの仕事内容は大きく4つに分類されます。
- システムの監視・メンテナンス作業
- 障害対応
- 顧客の業務支援(定常オペレーション)
- 顧客からの問い合わせ対応
上の2つがシステムよりの運用保守エンジニア、下の2つが業務よりの運用保守エンジニアとなります。
なお、システムの改修業務は開発を伴うことから、開発エンジニアが行うことが多いので、ここでは除外としています。
以下、それぞれの内容について詳しく解説します。
システムの監視・メンテナンス作業
システムが問題なく稼働しているかを監視して、問題が発生する前に予防措置としてメンテナンス作業を実施したりします。
具体的には、CPUやメモリの使用率を監視したり、アクセス数や処理状況を確認してこのまま稼働し続けて問題ないかを判断します。
また、定期的にセキュリティパッチを適用したり、アクセス数が多くなってきたらシステムの拡張作業を行ったりします。
目に見えないシステムの状況を見える化して、状態を診断する医師のような役割と言えます。
障害対応
日々のメンテナンスをしていても、どうしてもトラブルが発生してしまうことがあります。
この際に、素早く復旧させ、元の状態に戻す作業を行います。
障害対応は急に発生し、時間との勝負になるので、日頃から訓練を行うこともよくあります。
障害の火を鎮める消防士のような役割と言えます。
顧客の業務支援(定常オペレーション)
業務によっては、顧客が操作する代わりに、システムに詳しいエンジニアが操作することもあります。
日々の業務に必要な情報の登録作業や処理の実行を代行して、業務の支援を行います。
多くの場合はマニュアルが作られ、決まった曜日や時間に行うルーチンワークになります。
顧客からの問い合わせ対応
システムの利用者からの問い合わせを受付け、結果を返答する窓口となります。
顧客の問題を理解したり、状況を聞き出して、問題の切り分けを行います。
問い合わせ内容によっては、より詳しい開発エンジニアやインフラエンジニアと連携しながら作業を進めていきます。
運用保守エンジニアに求められるスキル
運用保守エンジニアは担当する領域が広いので、求められるスキルも幅広くなります。
どちらかというと、狭く深い知識を持つよりも、広く浅い知識を持つほうが求められます。
求められる主なスキルは、以下の4つです。
- システムの理解力
- 冷静な判断力
- ルーチンワークを地道に続ける力
- コミュニケーション能力
こちらも上の2つがシステムよりの運用保守エンジニア、下の2つが業務よりの運用保守エンジニアに求められるスキルとなります。
以下、それぞれの内容について詳しく解説します。
システムの理解力
システムを診断するためには、システムのことを知る必要があります。
そのためには、どんなシステムであるのかを理解する力が必要です。
具体的には、どんなインフラ構成なのか、どんなOS・ミドルウェアを使っているのか、プログラムの構成はどうなっているのかというシステム的な側面と、顧客の業務の特徴(朝によく使われる等)を理解する必要があります。
僕はシステムを見える化するために、データを収集して分析したり、システムを診断するためのプログラムを作っていたりもしました。
冷静な判断力
トラブル対応時は、どうしても焦ってしまうことになりますが、冷静に判断しないとさらにトラブルを大きくしてしまう可能性があります。
何が起こっても冷静でいられる精神力と、状況をよく観察して原因を究明したり、作業を行う判断力が求められます。
僕はトラブル対応を何度も経験しましたが、その度に精神力を鍛えられました。
ルーチンワークを地道に続ける力
ルーチンワークをミスなく続けていくのは、簡単そうに思えて難しいことです。
慣れた作業であっても、注意を怠ることなく、状況を判断しながら作業を行う精神力が求められます。
僕はルーチンワークが苦手なので、毎日ミスすることなくオペレーションされている方々にはとても尊敬します。
コミュニケーション能力
顧客はシステムのことを理解していないことが多いので、トンチンカンな質問をしてくることもあります。
そういう内容に対しても質問の意図を理解し、困っていることを助けてあげられるコミュニケーション能力が必要となります。
僕は問い合わせ対応によって、相手に理解してもらう文章力や説明力が鍛えられました。
運用保守エンジニアのキャリアプラン
運用保守エンジニアにおけるキャリアプランについてご紹介します。
システムよりか、業務よりかで分けています。
- プロジェクトマネージャ
- システムアーキテクト
たくさんのシステムの運用保守を経験すると、どんなシステムであると顧客の満足度が高く、トラブルの発生しにくいのかが分かるようになってきます。
そうした経験は、新たなシステムを作る際に、必要な知識として活かすことができます。
プロジェクトマネージャとして、顧客の要件を引き出しながら、満足度の高い提案を行うことが出来るようになります。
システムアーキテクトとして、トラブルが発生しにくく、メンテンナンスのし易いシステム設計を行うことが出来るようになります。
- 業務コンサルティング
- セールスエンジニア
顧客の業務に詳しくなると、その業界や業種にも詳しくなります。
そうした経験は、新たな顧客を開拓する際の知識として活かすことができます。
業務コンサルティングとして、顧客の課題や成長戦略を業務知識の視点で、提案・アドバイスを行うことが出来るようになります。
セールスエンジニアとして、新規顧客の業務に最適なシステムを提案し、円滑なコミュニケーションを行うことが出来るようになります。
まとめ
運用保守エンジニアについてまとめると、以下のようになります。
- 仕事内容は主にシステムよりの仕事と業務よりの仕事に分かれる。
- 求められるスキルは、1つのスキルが高くなるよりも、たくさんのスキルを少しずつ身につける方が良い。
- キャリアプランとしては、業務とシステムの上流工程を担当するエンジニアを目指すのがおすすめである。
運用保守エンジニアは縁の下の力持ちとして、重要な役割を担うエンジニアです。
人とコミュニケーションを取るのが好き、得意という方に向いているかもしれません。
今回は、運用保守エンジニアについて解説しました。
以上、参考になれば幸いです。
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